「ORACULAR-WINGS」では、投稿された作品は、投票所での投票数に伴い、様々な特典が付随してくるというシステムを採用しています。
絶対とは言いませんが、以下にその投票数、即ち評価される場合に見られる、基準をある程度説明させてもらいます。
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一般に「シェアードストーリーとしての判断基準」を満たしてさえいれば、後の評価は通常の小説と何ら変わりはありません。
詳しい基準は創作学習室を参照してください。
ここでは、基本的な評価点についてのみですが、具体的な例を含めつつ述べさせていただきます。
※なお、この例として使用する文章、及び解説は、その為に日和佐潤が執筆したものであり、シェアード基準としては満たしていないものである事をここに明記しておきます。
・視点の揺れがないか
<例1>
彼は身を起こして、身体についた砂を払った。見ると、ずいぶんと引き締まっていて、たくましい肉体である。
あたりを見回してみた。青く輝く海、白い砂浜、緑の山並み。人の姿はない。
……やれやれ、仕方ないな。
そう思って、俺はひとまずあたりを散策してみることにした。
これは、非常に極端な例です。
この場面での「視点」は「彼」にあるのですが、その彼が、自分の身体を見て、それをほめているのです。これでは、彼がナルシストになってしまいます。
さらに、ここでは「彼」に没入しすぎてしまい、モノローグをはさんで三人称の文章が一人称に変化しています。さすがにここまで行くと、推敲の段階で気がつくものですが、視点の持ち主に作者自身がのめりこみすぎないように注意する必要はあります。
<例2>
そして、あたりを見回し、昴は驚愕した。
「な、なんだあの化け物は!」
そう、それは全長300メートルはあろうかという、超巨大なASだったのである!
「うへーへっへっへっへっ! やつは、やつはどこにいるうっ! な〜にかまうものか、あたり一面ぶち壊してやる!」
筋肉男は、コクピットから見えるけしつぶのような人間の群れを、アリのようにふみつぶしていく。ようやくやってきた自衛隊機も、手刀1発でぶち落とした。
これは、場面が急に切り替わってしまっている例です。
シーンは、巨大なASの外からコクピット内へと移っているのですが、これを読むと、「うへーへっへっへっへ!」のセリフは、ASの「外側にいる」昴が聞いているように受け取れます。しかし、次の文章は、「コクピット内部」から見た風景を描き出しています。
こういう場面転換は、小説の場合では、きちんとした背景描写を文章で行う必要があります。アニメやコミックの場合は、それを絵で表現するので、背景を描きつつシーンを進行させることができますが、小説はそれぞれを順番に描かないといけません。
・同じ表現の繰り返しがないか
<例3>
「おいおい、兄ちゃん。俺たちのジャマをしないでもらえるかなあ」
「そうそう、きれいな顔に傷つけちゃうよ?」
と言いつつ、男のひとりがナイフを抜いた。しかし、そんな脅しに屈するような彼ではない。
「俺は、困っている人を見過ごすことができないだけだ。それに、俺は暴力が嫌いだ。今のうちなら、穏便にかたをつけることができるが、どうだろう」
彼は、まず平和的な解決を求めた。しかし、そんな提案に耳を貸すような連中ではない。
お気づきかと思いますが、ここでは「しかし、そんな〜ではない」という表現が繰り返して用いられています。このように、同じ構文や単語を何度も使ってしまうと、読んでいる側は興が醒めてしまうものです。
<例4>
もしかしたら、自分が感じた感覚も、運命というやつだったのかも知れない。彼は、そのように思っていた。
これも、「感」の文字が近くに並んでいます。こういうことを避けるためにも、多彩な表現法を身につけておきたいところです。
・風景描写が不足していないか
<例5>
謎の暗い一室。
そこに、数人の男たちが集まり、密やかに話し合っていた。
これは、シーンが移った段落の書き出しなのですが、イメージが非常にあいまいです。コミックでいうなら、背景はただの黒ベタで、そこに人間を描いているだけという状況です。
<例6>
「う・・・ん」
彼が目を覚ますと、そこは浜辺だった。夏の陽射しが、むきだしの上半身に突き刺さる。
「ここは……どこだ? それに……俺は、いったい……」
これも、書き出しの部分です。場面を指定する言葉として「浜辺」が使用されていますが、「浜辺」という言葉で想像する風景は、人それぞれ千差万別です。無人のプライベートビーチを連想する人もいますし、人だらけでかしましい海水浴場を思い浮かべた人もいるでしょう。
そこで、書く側は「自分が相手に想像して欲しい浜辺とは、こういうものだ」ということを文章で示さないといけないのです。わずらわしく感じられるかもしれませんが、自分の思いを正確に伝えるためには、多くの手がかりを読者に提供しなければならないのです。
あと、「・・・」は「……」が本来の表現法です。とくに狙いがないのならば、そのようにしておきましょう。
以上のような点に気をつけて書いていただければ、少なくともある程度の点までの評価を得る事は難しくありません。
これ以上の詳細につきましては、創作学習室を参照してください。