渋柿のSS講座(第6回)「プロットの作り方とその利用方法≪1≫」


 今週のお題、Noahさんご提供の「プロットの良い作り方やその利用方法」を考えるために、新しく物語のプロットを起こす事にしました。わたしは、プロットとは物語を書くための目安である、と言う考えを持っていますので、作り上げたプロットと実際に書いた物語の内容が一致することがありません。
 さらに言いますと、他人のプロット及びそれに基づいた作品と、自分のものを比較した事も無いので、実際に私が行うやり方が良いものであるのか、はっきりと示す事が出来ません。
 お題を頂いておるくせに、皆さんには無責任なことを言わざるを得ないのですが、これはわたしなりの「プロットの作り方とその利用方法」であるのをご承知頂いた上で、読み進めてください。

 今回はフルメタル・パニック(長編)に基づいた二次作品としてプロットを作る、という方針のもとで話を進めます。まず、物語の核となる個性(キャラクター)の創造をしなくてはならないのですが、時間も無く、以前にさわり程度(第1回)を申し上げた事があるので、これについては別の機会に譲っておきます。
 その代わりにフルメタの数ある個性の中から、ひとりを選び出すことにしました。これからウルズチームのお調子者、クルツ・ウェーバー君を取り出して、彼を中心とした物語を書く事にしましょう。
 幸い、彼の個性、技能、そのほか様々な事について、賀東招二さんの作品を読んでいるわたしには、断片的ながら、多くの情報を与えられています。二次作品である以上はそれを踏まえた上で、彼を知っている読み手、彼を知らない読み手、のどちらも考慮して、ともに満足させてしまう事を目的に据える事になります。
 では彼を物語の中心に据える事で、いったい何を読み手に伝えれば良いのでしょう。何をもって読み手を満足させるべきなのでしょう。彼を活躍させる物語でしょうか? それとも彼の日常を描く物語でしょうか?。
 仮に、読者がクルツの快傑談を望んでいるとしても、それを物語とするだけで果たして満足してくれるのでしょうか?。

 わたしにとって、その答は「否」なのです。物を語るのは、他人に何事かを伝える事です。快傑談や日常などは、世間話に過ぎないのです。世の中には英雄や偉人、賢人の伝記がありますが、それらの作品ですら「人間いかにして生きるべきか」と言う最低限の主題を持っています。
 物語の中でクルツを語る事は必要ですが、それは目的には出来ない。目的にすると、読者をしらけさせてしまう恐れがあるのです。新しく書き上げる作品では、彼を語る事で何を伝えるかを決めねばなりません。
 つまり物語の「主題(テーマ)」―二次作品であるなら、原作に合った主題ですが―を決めよ、と言う事です。ただ、わたしは作ったプロットを基にして物語を書くつもりでいるので、わたしの作品の「主題」については、ここには書かないにことにしておきます。

 さて、これからわたしが、プロットをどのように作ったか、を申し上げねばならないのですが、これ以上は長くなりますので、しばらく持ち越して、書きつづけることにします。

 渋井 柿乃介でした。


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