渋柿のSS講座(第7回)「プロットの作り方とその利用方法≪2≫」
に付ける、
泥皇氏の注釈


Q そのプロットについて重要なことを、質問形式で浴びせかけてみます。「そのプロットを、4文章で表してみてくれませんか?」 さて?。

A 答は「クルツ・ウェーバーは秘密組織ミスリルの優秀な傭兵で、仲間達とあるASを持つ組織を追っていた。クルツがミスリルで仕事をしているのには理由があり、それは彼の身の上に起きた、過去の出来事が関わっていた。クルツと仲間達(TDD)は組織の情報を得て、マラッカ(スンダ)海峡へ向うが、相手組織の待ち伏せに遭う。襲い来る敵、追い詰められたTDD、クルツと仲間達の運命やいかに」です。

A:Reお見事。……と言いたいところですが「各文章が長い」のに加え、とある理由から70点とさせていただきます。
 それでは回答の添削と質問の意図を。
 さて、「物語」というのは一連の流れによって完成させられるものです。起・承・転・結、すべての物語とは、この組み合わせによって作られているものであり、長かろうが短かろうが「どれか一つでも欠けたお話は優れたお話足り得ない」のです。
 こちらの意地悪な質問では判りにくかったかもしれませんが渋井さんに聞いたのはまさにこの一点、「その話の起承転結だけを抜き出してみよ」これが今回の質問の意図でした。
(「その文章を一番簡潔な4つの文章だけで表してみてくれ」と言えば良かったかもしれません、まあ問題文に起承転結という単語そのものを使っては意味がなかったものですから。とはいえこの辺はこちらの落ち度ですね)
 では、どのように答えればいいのか?
「組織を追うクルツ」(起)
「傭兵稼業の理由とその過去」(承)
「ミスリル、スンダへ」(転)
「クルツさん、大勝利」(結)
 ついついオチをつけてしまいましたがこれだけで充分なわけですね。
 ……ただし、これでは80点です。
 なぜか?
 それでは渋井さんのプロットを隅から隅まで読んでみましょう。そして質問。
「クルツの過去は話に必要か?」
 このプロット&渋井さんの「このお話の筋のほかに」などの弁を見るに、そうではないはず。つまりこのプロットは、承だけが「浮いている」(話に絡んでいない)のです。
 このプロットを使うのならば、承部分をお話に絡める→クルツの過去に関わる組織が出てくるなどの措置を執らなければいけない、と。これをしてはじめてこのプロットは起承転結が揃うわけです。

Reクルツの過去が、ストーリーにおいて「伏線」として機能しなければ、付け足しになってしまいますからね。

Reプロットは「基本を作ってから肉付け」です。本義は「無理のないプロットを作る」ですから、無理のないプロットの作り方であればいいんではないかと。


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