渋柿のSS講座(第8回)「プロットの作り方とその利用方法≪3≫」
さて、先週はプロットを作ったところまでお話しました。今回はそれをどう利用するか、プロットを考えても、物語の実情(都合)に合わなかったら、どうするのか、ということをお話しようと思います。
先週にプロットを載せておきましたが、このままでは「物語を思いついた」状態に過ぎません。実際に物語を書くときには、お話しの都合に合わない部分を外していくことになります。
私は≪1≫で、プロットと実際に書いた物語が一致しないと言いました。プロットで予定されていることと、何を伝えたいのか(主題)を照らし合わせたときに、プロットのある部分が邪魔(不要)になってしまったり、プロットのような情景がうまく浮かばなかったりしたら、大まかな筋―頭の中で組みたてたもの―をもとにプロットとは別の内容を書いてしまうからです。
繰り返しますが、私はプロットを目安(物語の参考)として使っています。主題を決め、大まかな筋を考え、その上でプロットを進行表として作っているのです。ですから、物語を書く作業は、プロットで予定されている事が本当に必要か? と考えながら進めているのです。
たとえば、私がプロットのある部分を書いたとします。ところが書き上げて読み返すと、その部分に不満を感じてしまった、としましょう。書き方がまずいのかも知れないので、その部分を何度か直しながら、「なぜ不満を感じたか」ということを考えます。
そうやって直しの作業を進めると「この部分が物語にとって必要か」「この部分を書くには唐突すぎはしないか」「この部分で書きこんだ分量に過不足は無いか」などの疑問が、どんどん湧いてきて、筆が止まってしまいます。
ここで、私はプロットに目を向けます。もう一度、物語の流れを追っていくと、疑問が氷解するときがあるのです―結論が出なかったときは、休憩してから、もう一度考えますけれども―。その結果、書き込みが増えたり、減ったり、別のシーンを増やしたり、あるいは書いたシーンが無くなってしまったりします。
それでも不満が残った場合は、作業を打ち切って、一日置いてからその部分を最初から書き直します。それを自分が納得するまで繰り返すのです。つまり、「納得した結果」として、完成した作品がプロット通りにはなっていないわけです。
たいへん疲れてしまうのですが、私はこの手順で物語を書きます。
以上、渋井柿乃介でした。