ORACULAR‐WINGS■
 ■突然生まれるスライト・ホープ■    <後編>


「ふむ……イメージトレーニング、ね……なるほど」
 鐘鳴有羽の剣の行き詰まりについて、さっきまで相談を受けていた小百合葉兵衛は、その内容のすべてを聞き終わった後、腕組みをして少しだけ唸っていた。
 ちなみにここは、近くの公園にある広場の一角である。何らかの実演の必要もあるかもしれないと、あまり狭くないのびのびと動ける場所に、二人で来たのだ。
 二人から少し距離の離れた広場の向こうでは、小学生くらいの少年少女達がボール遊びを楽しんでいる。空の色を見る限り日没には遠いので、小学生の子供にとってはまだ遊んでいられる時間だ。夏休みも残り少ないせいか、精一杯遊んでいるようにも見える。
 まあ、それはそれとして。
「それで……有羽ちゃんは、そのイメージに勝てないでいると……」
 確認のように訊いてくる兵衛。有羽はこれに、コクリと頷く。
「はい……何度か打突を入れることもできるんですけど、全然有効じゃないらしくて……」
「有効打が入らない、か……うーむ」
 兵衛はこれには結構悩んだ様子だったが……やがて彼は、思いついたかのように口を開いた。
「とりあえずさ、有羽ちゃんの剣技見せてみてよ。その、イメージを混ぜた実戦形式のやつ……」
「ほえ……こ、ここでですか?」
 ……このイメージトレーニングというのは、『イメージ』で剣の相手をする者は自分だけの認識でしかないので、傍目から見れば少し間抜けなパントマイムにしか見えない。
 だから、人前でこれをやるのは……やはり、何だか恥ずかしい。
「大丈夫大丈夫。上手くやったら、オレにもその『イメージ』が見えるかも知れないし」
「で、でも……」
「それに、そうしないとどこが駄目なのか、オレがわからないぜ? こういうのは、客観的に見る人の意見も大切なんだからさ」
「……そうでした」
 彼のいうことが正しいことから、渋々頷いて、有羽は三段式のスチール製の警棒を鞄から取り出した。見た目からも材質は良く、とても丈夫そうな警棒である。
「わお、有羽ちゃんってば、見かけによらずえげつないもの持ってるね……」
「……いざと言う時のための護身具です」
 恥ずかしげながら兵衛に答えて、警棒を伸ばし、有羽はゆっくりと意識の集中を始めた。
 この訓練を人に見られるのは初めてだから緊張するが、一度深呼吸して、気分を落ち着かせる。
 目を閉じると……何も聞えない、別の世界に陥る錯覚が感じられる。
 とても静かで、ここに来るたびに、自分のする微かな一挙手一投足でも、自分の鼓膜を振動させる音となる。
 そして、その世界が深く感じられるようになった時、目をそっと開ける。
 目の前の何もない空間に……見えた。自分のイメージが生み出した『敵』である、白色の影みたいなものが。
 有羽は片手に警棒を構え、いつでも動けるように……体勢を取る。それに合わせるかのように、その白影もまた自分の得物を構え、ジリジリとこちらに向かって間合いを取っていた。

 ――今回は先手を打つ!

 数瞬の後、有羽は警棒を手に駆け出した。
 牽制のため、最初に二、三撃ほど縦横に攻撃を繰り出す。これはいとも簡単に相手に回避されたが、牽制なのだから回避されるのは突然だ。元より当てるつもりはない。
 ここから、相手が反撃を繰り出してくる。だが、その点は大丈夫だ。予想していたことでもあるし、今回は自分の得物の丈が短い分小回りが効くので、どこから出てくる斬撃にも対応できる。たとえ自分以上の実力を持つ者の攻撃でも、防御は可能だ。
 問題は……自分の攻撃力。普段の訓練でさえ威力がないのに、今は得物が得物だ。今回はより一層に力を込めなけれならない。
『大丈夫かな……』と、不安に思う。だが、やるしかない。
 数秒間打ち合い、間合いを離した後……相手が少しだけ膝を折って、怯んだかのように見えた。
「……っ!」
 こんな小さな隙でも、有羽は見逃さない。
 警棒をしっかり右手に握り、突進。そこから渾身の一撃を繰り出そうとしたところで、
「はーい、ストップ!」
 と、いきなり制止の声が聞こえてきた。
「ほえ……!?」
 これが、有羽の高まっていた集中力を一気に途切れさせ……目の前に見えていた白影をも、霧散霧消してしまう。しかも、その自分の突進を止められることもなく、さらには地に足を蹴つまずかせてしまい……そのまま公園の芝生へとダイブすることになってしまった。
「あ……」
 一方で、それを見ていた兵衛は、このダイブに気まずそうに声をあげたが……時既に遅し。公園の芝生へとダイブしていった有羽は、『べちっ』と顔面から転んだ後、そのままピクリとも動かなくなった。
「おー…………って、悠長に見てる場合じゃなくてっ!」
 あまりのことに一瞬だけその場で固まっていたが、ふっと我に帰り、兵衛は急いで微動だにしない彼女に駆け寄っていく。踏んで見ると、芝生は……まだ軟らかい。これでは転んでも怪我はしないだろう。その点はまだ安心だ。
 だが、未だに有羽が倒れたまま動かないことから、今の彼の表情は焦りと彼女の集中を止めてしまったことについての後ろめたさでいっぱいだった。
「おーい……」
 とりあえず、兵衛はおそるおそる倒れている有羽に声をかける。すると、
「うぐぅ……」
 少しだけ反応があった。
 何だか聞いたことがあるようなないような呻き声だったが、とりあえず生きてはいる。というか、これで死ぬことはありえないだろうが、反応してくれただけでもとりあえずホッとした。
「ゆ、有羽ちゃん、大丈夫か?」
「ふぇ〜……小百合葉くん、ひどいですよぅ……」
 両手を地につき、やっと起き上がる有羽。だが、地に付く両手は小刻みに震えていて、顔も芝生の土だらけになって何とも言えない顔になってしまっていた。
「うぅ……いきなり大声なんて出さないでください……」
「あー……と、とにかく、悪かった。とりあえず顔を拭いて……」
 鞄から新品のタオルを出して、兵衛は土の付いた彼女の顔を優しく拭いてやる。
「…………」
 これに、有羽の方はといえば……ほとんど成すがままと言った感じで、顔を拭かれていた。
 下手に動けば彼の邪魔になって、その分遅れるかも知れないという配慮でもある。ついでに、今こうされているのも、子供の頃によく母にそうしてもらったことがあるのを思い出して、何だか懐かしい気分になったりする。
 それに……改めて見ると、彼の顔が少し近い。もうちょっと……このまま――
「んー……と、これで大丈夫だな」
 と、終わったのか、彼の顔がスッと離れる。これに、有羽はハッと我に帰るが――
 って、あれ……今、何を……?
 何を考えていたか自問して自答ができなかった。そんな間にも、兵衛は少しだけまじまじと自分の顔を見た後、『よし』と満足そうに頷く。
「有羽ちゃん、終わったぜ」
「あ、ありがとうございます……」
 慌てて彼に答えながらも……何で今、少し残念な気持ちになっているのか、有羽にはわからなかった。この様々な気持ちの錯綜に、彼女はますます混乱させられる。
「さてと……そうそう、アドバイスだったな。全体的に見ると、有羽ちゃんの剣技は良かった」
 私……どうしちゃったんだろう?
「でも、何ていうかな……やっぱり、その実力が通じるのは『試合』の粋であって、オレ達が属すような無名の流派にはありがちな『実戦』には、あまり通用しない」
 時々、わけの分からないこと考えちゃうし……さっきから、何だかおかしいよ。……何で?
「それは何故か? その答えが、今の有羽ちゃんの欠点に隠れてるわけなんだけど……」
 それに、このジリジリした感じは……本当に何なんだろう?
「……って、聞いてる、有羽ちゃん?」
「……ほえ?」
 と、そこで、彼に怪訝な声が聞こえてくると、有羽は感覚的に間抜けな声を出し――
「ああっ!」
 いつの間にか、自分の世界に入ってしまっていたことに気付いた。『聞いてる?』と問われて
『聞いている』と答える自信は……はっきりいって、ない。
「ご、ごめんなさい……も、もう一回、最初から……」
「だあああっ!」
 それを聞いた途端、兵衛はリアクション大きくずっこけ、『NO!』とでも言わんばかりに片手で頭を抱えていた。これに、有羽は慌てて彼に何度も頭を下げる。
「ほ、ホントにごめんなさいっ! ごめんなさいぃ……」
「……いや、いいんだけどね……はは」
 何だか困っていたが、それでも彼は弱々しく笑い……自分のお願いした通り、最初からアドバイス内容を話してくれた。彼には本当に悪いことをしたと心の中で何度も謝りつつ、有羽は兵衛の話に耳を傾ける。
「――それで、オレが気付いた有羽ちゃんの剣の欠点だけど……言うなれば『技』かな」
「技……?」
「そう、技。有羽ちゃんは相手にダメージを与えようと必死になるあまり、いつの間にか剣の振りが力任せになって、その振りの軌道や剣の握り方が少し大雑把になってしまっているんだ」
「…………」
 ……彼の言うことは否定はできない。思い返すと……確かに、今までやってきたイメージトレーニングでは剣の振りの速さや威力を意識するあまり、その振り自体の正確云々に付いての意識が疎かになってしまっていた。
「有羽ちゃん、ちょっとそれ、オレに貸してみ」
 と、実演してみようと思ったのか、兵衛は自分に向かって手を差し出して来た。有羽はコクリと頷き、さっきまで使っていた三段警棒を彼に手渡す。
「よし……ちょっと見ておいてくれよ」
 そう呟き、兵衛はその警棒を手に無行の位に構えを取った。
 その構えを最初は何も感じなかったが……やがて、『ゾクッ』とするような威圧感が、有羽の全身を徐々に駆け抜けていった。普通の剣士にはない、独特の気迫。
 これが……[柳生仙陽流]の剣士としての、小百合葉兵衛くん……。
 普段の彼の陽気さは、今では鳴りを潜めている――いや、鳴りを潜めているのではなく、彼からかもし出されているその気迫を自分が全身で感じているだけだ。改めて見ると、全体の彼の雰囲気はそんなにも普段とは変わっていない。
「……あ」
 今気付いたのだが……いつのまにか、自分の制服の背中に、寒気のするような冷たい汗がじっとりと滲んでいた。
 冷や汗?
 いや、違う。私は今、この静かな気迫に……完璧に圧されているんだ。
 普段でも体格が大きいのに、今の彼は、さらに大きく見えた。
「…………」
 静かな気迫をまとった少年が、無言でその警棒を片手で振り上げる。そして、
 ヒュッ!
 そんな、風を切るような音がした。
 ヒュッ、ヒュッ、ヒュッ!
 そして、その音は幾度と続く。
 素振り。大振りで、力任せに振られているように見えるが……的確で、とても丁寧だ。恐らく、滅多なことでは実戦で彼の懐に入り込めないだろうと、有羽は感じていた。
「っと……こういう風に、正確に振ることが何より大事なんだ」
 十数回くらいで素振りを終え、握っている警棒をトントンと肩に置きながら、兵衛はこちらに向き直った。全ての振りがとても丁寧だったのに、有羽は思わず唸りを漏らしていた。
「ほえ……すごいですね……」
「すごい……って言われるのもなんだけど、ま、いいか。それで、有羽ちゃんは体重がとても軽い
から、『力』任せに剣を振ってもあまり効果がないんだよ」
「う……」
 少し痛いところを突かれた気がしないでもなかったが、実際そうなので、有羽は何も言わずに彼の話を聞きつづけることにする。
「確かに有羽ちゃんの『速さ』は特徴的だったけど、単に速いだけではその剣の威力に反映されるわけでもない。……まあ、それはオレの剣にもいえることかな。オレの場合、力任せに振ったって、当たらなければ意味がない」
「……じゃあ、その自分の持っている特徴を最も生かすには――」
「御名答。剣を持つ手の握り、振りの軌道、狙いの箇所……その他諸々、剣を振る者のその技量次第で、威力に差が出てくるってことだよ」
「…………」
 ……その通りだ。それに、剣術のイロハが身についた時に、師である祖父にそれを教えられたことがあったのも、思い出した。
 私は……自分の特徴ばかりを気にかけて、剣術に於ける一番大切なことを忘れてしまっていたんだ。こんな……無意識に……。
「有羽ちゃん、自虐モードはなし」
「あ……」
 兵衛に困ったように言われて、気が付く。また深く考えて、思っていることを顔に出してしまったようだ。
「ご、ごめんなさい……」
「さっきも言ったけど、謝るのもなし。有羽ちゃんさ、そんな深く考え込んでも、『ソレはソレ、コレはコレ』なんだ。前向きに割り切らないと、いつまで経っても前には進めないぜ?」
「…………」
 ……考えてみれば、さっきから、この短時間で彼には迷惑をかけっぱなしである。でも、こんな自分に少し困りながらも、突き放したりはせずに……それどころか、笑顔で励ましてくれる。
 とっても優しい人なんだ……この人は。

 トクン……トクン……

 さっきから何であるかわからない、自分の中で高鳴る音。
 徐々に、それが大きくなっていく……。
「っと……もうそろそろ暗くなってくるな」
 自分でもその高鳴りをはっきりと感じかけたところで……兵衛が、自分の時計と今の空の色とを交互に見比べているのに気が付いた。
 確かに、空の色はもう日没のといっても相違ない淡い紺色であり、さっきまでむこうの公園の中央で遊んでいた子供達も、いつの間にか帰ってしまっている。
「さてと……本格的に暗くなる前に、帰ろうぜ。……他に、質問とかない? 答えられる範囲ならまだ答えるけど」
「い……いえ、特に……。今日は、いろいろとありがとうございました」
「ん、どういたしまして」
 言って、兵衛は手に持っていた収縮警棒で硬いコンクリートブロックを突いた。ガツンと音がしてしっかり固定されていた警棒が縮む。
「これでよし。……じゃ、今日はここで解散だな」
 収縮された警棒をポンと自分に返しながら言う兵衛。
「え……は、はい……」
 彼にそう返事しながらも――今、有羽は焦っていた。自分でも何故かわからないが、焦っていた。
 今、私は彼に何かを言いたい。でも……何を言っていいのかわからない。一体、どうすれば――
「ほいじゃ、バイバイ、有羽ちゃん。また学校でな」
「あ……」
 手を振って、小百合葉兵衛は歩き去っていく。今、自分が何かを言いたいのに気付くこともなく……。そして、彼との距離はどんどん離れていく。
「――さ、小百合葉くんっ!」
 無意識に――本当に無意識に、有羽は彼の名前を呼んでいた。はっきりと、大きな声で。今、彼に何を言いたいのかさえ自分でわからないのに。
「ん……どした、有羽ちゃん?」
 でも、彼は振り向いてくれた。少しきょとんとした顔で。
 その瞬間、有羽は彼に何を言いたいかを必死に考えた。一瞬では何も思いつかないのはわかってるけど、何でもいい。何かを言えればそれで……!
「わ、私……これからも、頑張りますっ!」
 そして……その考え抜いた結果を、有羽は言った。今の彼女には、精一杯のことだった。
「ああ、これからも、頑張れよ!」
 これに、兵衛は笑顔で答えてくれて陽気に手を振り、そのまま公園を歩き去っていった。
 ……何かを言えて、少しホッとした。本当に言いたかったことはまだ自分でも何かわからないけど、今はそれでいいんだと思う。それに、さっき自分で彼に言った通り……もっと、私は頑張らないといけない。
 本格的に紺色が近付く空の下、歩いていく兵衛の背中を見送った後、有羽はしっかりとした足取りで自分の家への帰路に着いた。


「ただいま……」
 有羽が鐘鳴家に帰宅したのは、午後六時半だった。そう言えば時計を持っていなかったので、その時刻を確認したのは、玄関の下駄箱に置かれている古風な置時計でだった。
 トタトタと廊下を歩いて台所を覗いて見ると、母親の鐘鳴曖が軽快な動作で今日の晩御飯を作っている。
「あ、おかえり、有羽。結構遅かったね」
 こちらに気付いたのか、曖は今日の晩御飯であるチャーハンを作るための野菜を細かくきざんでいる包丁の手を休め、きょとんとした顔で言ってきた。自分の帰りが遅かったことからだろう。
「ちょっと、久しぶりにクラスの友達と会ったから、話が盛り上がっちゃって……」
「ふーん……楽しかった?」
「う、うん……楽しかったよ」
「そう、良かったね☆」
 何故か自分の返事が少しどもり気味だった気がするが、それにも構わず母は微笑んでくれた。明るい人であると同時に、マイペースな人でもあるのだ。
「あたしはさっきまで仕事の残りやっててさ。やっと終わって、今から晩御飯作ってるの。お腹が空いてるところゴメンだけど、晩御飯はもうちょっと待ってね」
「……手伝うよ、お母さん」
「だいじょーぶ。昨日一昨日とあたしの都合で有羽に作らせちゃってるんだから、今日はあたしがちゃーんと作らないとね。ま、美味しいの期待しといて」
 可愛らしいクマさん刺繍があるエプロンを付けている胸をどーんとたたいて、張り切る曖。そんな母に少し苦笑してから……少し、ハッとなった。
「そういえば……江笊やリッちゃん達は、まだ帰ってないの?」
 五日前から遠出をしており、今日帰ってくる予定の兄二人と居候の少女がまだ帰ってないのに、有羽は少しきょろきょろとしながら母に訊く。もう、帰ってきていてもいい時間なのだが……。
「帰り道で渋滞に巻き込まれたんだってさ。さっき笈から電話かかってきた」
「ほえ……じゅ、渋滞……」
「そいで、帰るのにはもうちょっと時間かかるから、晩御飯は先に食べててくれだって」
「ふーん……」
 じゃあ……まだ、晩御飯まで時間があるよね。なら――
「わかったよ」
 鼻歌交じりに料理を再開する曖にそう言っておき、有羽は反射的に――道場に向かって足を進めていた。

『剣を持つ手の握り、振りの軌道、狙いの箇所……その他諸々、剣を振る者のその『技』次第で、威力に差が出てくるってことだよ』
 そう言われて、すぐにそれが実行できるかどうかはわからないけど――
『そんな深く考え込んでも、「ソレはソレ、コレはコレ」なんだ。割り切って前向きに吹っ切らないと、いつまで経っても前には進めないぜ?』
 だからこそ、今は少しでも……前に進みたい。
『これからも、頑張れよ!』
 はい……頑張りますっ!
 夜になって薄暗くなってきた道場の中、蝋燭の灯火の微笑の明かりの前で……制服姿のままの鐘鳴有羽は、三尺九寸の竹刀を手に、目を閉じて佇んでいた。
 ――意識の集中。今日何回もやった、イメージの創作。
 時間がないから早くしないとダメだなんて、集中を焦ってはいけない。そうすると、余計に遅くなってしまう可能性もある。だから、ゆっくりと……深呼吸して……心を落ち着けると――
 見えた……。
 目を開けると、『それ』は目の前にあった。
 白影。自分のイメージで作り出した、全身が真っ白いぼんやりとした影。今の自分の稽古の相手。その稽古の中で、自分が何度も負かされてきた――乗り越えるべき壁。
 有羽はスッと静かに……ゆっくりと、竹刀を正眼に構えた。それと同時に、目の前の白影も白刃を手にして構えを取っている。
 構え、気迫、間合い……瞬間の剣のやり取り。そして――

 ……来た!

 さっきと同じ先手で行こうと思ったが、今回は後手に回ってしまったようだ。しかし、思ったことができない程度で、焦ってなんていられない。
 相手から繰り出される速い攻撃を、その剣閃を読んで、受け流すように自分の竹刀で捌く。間髪を入れずに攻撃が続いてくるが、有羽はそれも上手く竹刀で捌きつづけて、意識の集中を高める。

 連続的な攻撃には必ず穴がある。
 そこに、小百合葉くんが言ってたように、正確に……打ち込む!

 バチィン!
 鋭く正確に、相手の胴に一撃が入る。
 手応えあり。小さいけど、確かに感じた。しかし……この程度の一撃では、その白影は怯む様子を見せない。
「…………」
 それに動じはせずに、今度は袈裟懸けに攻撃を加えるが、それは相手の剣で横に捌かれる。だが、これはフェイント。元々、最初からそうされるのが狙いだ。剣の握りさえしっかりしておけば……!
「豪槌流剣術・転閃薙(てんせんてい)!」
 捌かれた反動を利用して自分自身を回転させ、遠心力を加えた一撃を相手の足に繰り出すことができる。鞭のようにしなる有羽の竹刀は、相手の膝を上手くとらえていた。
 白影が、一瞬だけグラリとよろめきを見せる。
「…………」
 ……効いている。だけど、勝負を焦ってはダメだ。
 いくら効いていようとも、この程度の小細工では、まだ蚊に刺されるほどにしか感じない。それに、思いもよらない反撃が来る可能性は充分に予測される。だから、一気に勝ちに行くのではなく、落ち着いて切り結んでいけば……勝機は来る!
 集中して、相手から来る斬撃を予測、回避し、隙あらば小刻みに丁寧な攻撃を入れる。
 蝶のように舞い、蜂のように刺す。
 有羽の集中力。[豪槌流剣術]特有の敏捷性と跳躍力。そして、小百合葉兵衛にしてもらった『技』のアドバイスに基づく丁寧な剣筋。それら全てが、今の有羽の動きをその状態に辿りつかせていた。
 そして、度重なる攻撃で、相手の動きが鈍りを見せた時に――
「……やああっ!」
 剣術に於ける一番基本的な振り、唐竹割り。気迫、足の踏み込み……申し分はない!
 ドタンッ!
 鈍い音を耳にしながら、相手の横を過ぎ去っていく。すぐさま、油断なく振り返って竹刀を相手に向けて構えようとすると……相手の白影が膝を折って崩れ落ちたのを、有羽は目撃していた。
 …………か……勝てた……。
 瞬間、極限まで高められていた集中力が一気に途切れる。そして、突如襲ってくる疲労感とザッと流れる大量の汗を、有羽は全身に感じた。
 パチパチパチパチ……
 と、そこで聞こえてきた拍手。振り向くと、母である鐘鳴曖が、薄暗い道場の入口で満足そうに笑いながら手を叩いていた。
「はっはっは、いやー、お見事!」
「お母さん……見てたの?」
「途中からだったけどね。声かけるのも悪いから、最後まで見させてもらったんだけど……。今の動きは、素人のあたしから見てもよかったと思うよ」
「うん……」
 母に向かって微笑み返しながら……有羽は、さっきアドバイスをくれた彼に感謝していた。
 小百合葉くん……私、頑張れました。そして、これからも頑張ります……ありがとう……。
 そう、今すぐ彼にお礼を言えないことが、とても残念だった。
「ありゃー……でも、汗だらけだわね」
「ほえ……」
 彼女の言う通り、有羽はさっきの稽古で着ている制服も含めて全身汗だくになっていた。そんな自分の姿に、曖はさっきとは違った苦笑いを見せる。
「うーん……じゃ、今からソッコーでお風呂沸かせてあげるから、さっぱりしてきな」
「え……でも、夕食は……」
「後で温めなおせばいいって。それに、そんな汗だくでは気持ち悪いだろ?」
 『ハハハ』と軽く笑いながら、曖は道場の入口から出て行く。そんな母にポカンとなったが……有羽はその気遣いに感謝して、素直にそれに甘んじる事にした。


 母が沸かしてくれたお風呂は、とても気持ちが良い。今日は本当によく動き、よく汗をかいたから、そのせいもあるかも知れない。
「…………」
 浴槽に張られているお湯につかって、有羽はさっきの稽古のことを思い返した。
 ……初めて勝ったといっても、線的に言えばギリギリだ。もし、攻撃の効きが薄く、もう少しこの稽古が長引いてしまっていたとしたら、こちらの体力切れでまた負けてしまっていただろう。
 それに、相手はあくまで自分と同じ実力を想定したイメージでしかない。それ以上の実力を持つ者には、まだ到底及ばない。
 例えば、兵衛みたいな剣士には――

 どき……

 ……あれ? 今、小百合葉くんのことを少し思い浮かべただけで……この音が……。

 どき……どき……どき……

 その瞬間、また鳴り響く。だが、その音は……少しずつ、だが、確実に早くなっていく。
 え? え? な、なんで……?
 わけがわからなくなっている間にも、その音はまだまだ早くなっていく。それに……知らぬ間に、兵衛のことを思い浮かべている自分に、有羽は気が付いた。自分以上の実力を持つ剣の使い手ならまだいっぱいいるのに、今は兵衛のことしか頭に浮かばない。

 どきどきどきどきどきどき…………

 と、とまらない……どうして……?
 この音がなんであるかわからない。
 この音がなんであるか頭が回らない。
 顔が赤くなる。
 耳も赤くなる。
 身体が熱い……って、これは……お風呂に入ってるからなのかな……?
 思考がぐるぐると回り、自分の中で響く音に翻弄されて……いつしか、有羽の意識は彼方へと飛んでいた。

                     ▼

 チャーハンをレンジで温めなおして、おかずの鶏唐揚げとレタスも皿に並べてと……これでできた。今日は中華が主流だね〜♪
 全ての夕食の準備が終わった曖は、食堂の椅子に座って自分で煎れた粗茶をズズズと飲みながら、娘がお風呂から上がってくるのを待っていた。だが――
「…………」
 それから十五分経っても、有羽は食堂に姿を現さなかった。
「……?」
 おかしい。有羽はそんなに長風呂をしないはずだ。というか、普段の有羽は比較的お風呂から早く出てくるから、曖は余計に怪訝に感じた。
「有羽……?」
 食堂の椅子から立ち上がり、とたとたと廊下を歩いて我が家のお風呂場に向かう。そこから、曖はカーテンが引かれている脱衣場に向かって声をかけてみた。
「おーい、有羽、いつまで入ってんだー?」
『…………』
「おーい、返事しろー、有羽ー」
『…………』
 反応がない。思い切って脱衣場のカーテンを開けてみても……有羽の姿はそこにない。しかし、風呂場の電気は点いてはいる。と言うことは、まだ入っているのだろうが……。
「……しゃあないな」
 『そんなに長く入ってるとのぼせるぞーっ』と言ってやろうと、お風呂場のドアを開けると――
「……………………」
 一人の小柄な少女が、全身を真っ赤にして浴槽で崩れ落ちていた。
「……………………」
 ……こりゃ目の錯覚だな、うん。有羽がお風呂場の浴槽でぐったりしているなんて、ありえないありえない……。
 そんなことを思いながら、もう一度改めて見ると……変わらない結果が、そこにはあった。
「…………って、だああっ! もしかして、マジでのぼせてるっ!?」
 さすがの曖もかなり焦りの表情を浮かべながら……茹でダコみたいに真っ赤にのぼせて気絶している自分の娘を、浴槽から引き上げた。

                      ▼

 ……私はどうしてしまったんだろう。
 ふと思う。それに、何だか頭がボーっとして、体中の感覚が妙に鈍い。
 フィーーーン……
 ――聞こえてくる機械的な音。その音と同時に、自分に吹いてくる風が涼しくて心地いい。ボーっとしていた頭には特に、だ。意識も徐々に……ぼんやりとだが、戻っていく。
「ん……」
 目が覚めた時、白色の電灯の光が自分の目に突き刺さった。とても眩しくて、少し目が痛い。光を避けるため、顔を横に向けると――
「あ……」
 そこには、少し困ったような顔をして座りながら、自分に向かってうちわをゆっくりと扇いでいる母の姿があった。
「お……気がついたね」
「あ、あれ……お母さん?」
「ああ、お母さんだよ。まったく……どうしたんだよ、有羽。おまえ、お風呂でのぼせてたんだぞ?」
「ほえ……のぼせてた……?」
 有羽は、和室の畳に横たわっているらしいその身を起こそうとしたが、頭が痛んでそれもままならない。どうやら、かなりのぼせ上がってしまったらしい。今着ている自分のパジャマも、風がよく入るように、一つボタンを外して少しだけはだけられている。
 ついでに、さっきから聞こえてくる機械の音は、自分に向けられている扇風機の音だった。弱風に設定されていて、湯冷めしないように母が気遣ってくれているのがわかる。
「うー……ご、ごめんね、お母さん……」
「別にいいよ……で、何でそんなにのぼせるまで風呂に入ってたんだ?」
 もっともな質問を曖が尋ねてくるが、有羽はなんて答えたらいいのかわからなかった。ただ、答えられることといったら……。
「……小百合葉くん」
「……はい?」
「うん……小百合場くんのこと考えてたら……なんだかくらくらしちゃって……」
 のぼせた後遺症が残っているのか、うわ言のようにしか語り出せない。自分でも何を言っているのかも、ほとんど抑制がきいてない。ただ、確かに言えることを、有羽は口に出していた。
「……一つ訊くけど、サユリバくんって、誰?」
 何故、聞こえてくる母の口調がこんなにも驚いているのかわからなかったが、今の有羽にとってそんなことはどうでもいい気がした。
「小百合葉くんは……クラスの友達だよ? 明るくて、とっても豪快な人……」
「ふむ……それで?」
「うー……そうだ。今日、私に剣術についてのアドバイスくれたんだっけ……」
「ああ、今日学校に行って、話が盛り上がってた友達って、そのサユリバくんのことね。それで偶然、話してた時のことをお風呂場で考えちゃったと……」
「うぅん……そうかな……そうだったかも……でも、なんだか変だったんだよ……。最初はどうも思わなかったのに……知らない間に、小百合葉くんのこと考えちゃって……それで、あの人のこと考えると、何だか頭がくらくらしちゃって……わけのわからない音まで聞こえてきて……」
 それを聞くと、こめかみに少し汗を浮かべながらも、曖は納得した表情を浮かべていた。
「…………ははぁ……なるほどね」
 そしてそれから……何やらにんまりした表情に、みるみる変わっていく。
「はは、有羽……あんたもねぇ……」
「……? お母さん、どうしたの……?」
「いや、ちょっと嬉しくて……いやぁ、有羽も遂にこの時が来たか……」
「……?」
 そんなことを言われても、有羽には何が何だかわからなかった。ボーっとする頭も少しはマシになってきて、何とか上半身だけ起き上がりながら、母にその表情の理由を尋ねる。
「ねえ、お母さん……何で、そんな表情をしているの?」
「いや、だってさ……有羽もやっと恋をするときが来たんだなぁって……」
「…………ほえ」
 今……なんて?
「あれ、聞こえなかった? 恋だよ、恋」
「……………………」
 こい?
 コイ?
 KOI? 
「……淡水魚?」
「それは鯉」
「……わざと?」
「それは故意」
「……言葉、単語の意味?」
「それは語彙(ごい)……って、そんな親子でボケツッコミをしている場合じゃなくて……。だから有羽、あんたはそのサユリバくんとやらに恋をしてるのよっ!」
 『ピシィッ!』と手に持っているうちわ(さっきまで有羽を扇いでいたやつだ)を自分に向け、自身満々の表情で曖が高らかに宣言する。これに、有羽は数秒ほど固まっていたが……その言葉の意味をやっと理解して、
「……!?」
 その理解の瞬間に、彼女の顔は再び真っ赤になった。
 え、え――っ!? わ、私が小百合葉くんに……!? 確かに私、小百合葉くんのこと……好きだけど、そ、そんな、そういう恋とか、そう言うんじゃなくて――!
 ブオオオオオオォォッ!
 と、強烈な機械の音と共に、いきなり吹いてくる強風。見ると、曖が扇風機の強さを『強風』に設定して、自分の顔に向けてきていた。
「わわわっ……!?」
「ふぅ……頭、冷えた?」
 彼女は扇風機をのスイッチを切って傍らに置き、にんまりしながら訊いてくる。少し強引な気はしたが、混乱して熱の入る頭には最適だったかもしれない。確かにこれで冷静にはなれた。
「う……でも……」
 改めて思うと、自分が兵衛に……恋をしているだなんて……。
 だけど、さっきから自分の中で響いていた音は、これで納得いくのではないだろうか? 時々自分でもわからないことを考えた理由も、胸の奥が変にジリジリした理由も、あの時兵衛のことしか頭に浮かばなかった理由も……。
 これで、全部わかったんじゃないだろうか?

 友達としてではなく、一人の男の子として――彼のことが好きになったからだ、と。

「……整理できた?」
「うん……」
 いつになく穏やかに尋ねてくる母に対し、少し気が入らない返事を返す有羽。だが、自分の中で生まれているこの淡い感情は……今、はっきりと、確認していた。
「それで……どうするの?」
「ほえ……?」
「その子に今度会ったら、今の気持ち、伝えるのか?」
「…………」
 ……それを考えると、有羽の中で迷いがでる。
 伝えたらどうなってしまうだろうか。受け入れてもらえるだろうか。……失敗して、今の友達という程好い関係が瓦解してしまわないだろうか。
 今まで読んできた恋愛小説なら、大体はハッピーエンドを踏んでいたが……それはお話の世界だけのことだ。現実はそう、甘くはない。
「わからないよ……どうすればいいのか……」
 思い、悩む。恋愛小説とは違って、恋というものは甘く、それでいて複雑な感情だ。
 だが……そんな悩む自分の肩に、曖はポンと優しく手を置いた。
「……有羽、お母さんはね、これに関してはあまり何も言ってやれないよ。あたしが何かを口出せばタメにはなるかも知れない。けど、逆を返せば大きなお世話になるかも知れない。だから……これはできるだけ、自分自身で決着をつけなさい」
 いつも陽気を装っているが、時々、鐘鳴曖は母としての本当の顔を見せる。母がこんな顔をする時は……とても頼もしいことを言ってくれて、自分に少しの勇気をくれる。
「お母さん……」
「だけど……応援はしている。それだけは忘れるなよ?」
 そして今もそうだ。『あまり何も言ってやれない』と言いつつも、勇気だけはちゃんと与えてくれる。あとは……彼女の言う通り、自分次第なのだ。
「……はいっ!」
「よし……」
 しっかりとした返事に曖はにっこりと微笑んで、くしゃりと自分の髪の毛を少し強く撫でてくれた。その表情はいつも通り、陽気な母のものだった。
「じゃ……夕御飯、食べよっか。お腹空いただろう?」
「うん、そうだね……」
 いつしか、ボーッとなっていた頭は元通りになっており、立ち上がっても問題はなく……有羽は母と共に、今夜の夕食が待つ食堂に向かうのだった。

                      ▼

 外出していた兄達が帰ってきたのはその一時間後だった。
 兄である江笊と笈は、入浴を終えた途端に、夕食を食べもせずにそのまま泥のように寝入ってしまった。居候の少女である実河梨津も、夕食は食べたものの終始眠そうにしており、午後一〇時にならないうちによたよたと自室に戻っていった。
 三人ともこの遠出でかなり疲れていたのだろう。帰り道に渋滞に巻き込まれたなら尚更だ。有羽と曖はこれには苦笑するしかなかった。
 明日に改めて話そうとするのも難だし、結局、この話は有羽と曖の二人だけの秘密にしておこうということになった。

                      ▼

 自室の電灯を消して部屋も真っ暗になったところで、有羽は薄地の布団にゴソゴソともぐりこむ。そして、目を閉じて眠りにつこうとする。
「…………」
 だが、やはり眠くなるはずがなかった。こんな気持ちを持つのを、今までの人生の中で体験したことがないだけに……今日はさすがに、眠れそうにもない。
 少なくとも、今後どうするかを決めない限りは――
「でも……まだ、ダメだよ……」
 暗い天井に向かって一人、呟く。
 そう……母に勇気付けてもらったとしても、迷いはやはり残っている。さっき思った失恋の可能性や、今の関係の瓦解についての恐れは、今もある。
 自分次第と言っても、どうすれば……――
『これからも、頑張れよ!』
 ふと、そんな彼の声が頭の中で響く。これに、彼の顔が天井に浮かんで少し『ドキリ』としながらも……自分で言ったあの言葉を、有羽は反芻した。
『わ、私……これからも、頑張りますっ!』
 そう……私はこれからも、頑張らないといけないんだ。だからこそ――

 彼にはまだ、好きとは言えない。

 こんな自分は、傍目から見れば臆病なのだろう。
 でも……迷ってはいないつもりだ。
 あの時彼に言ったように、もっと頑張って努力しよう。剣についても、勉強についても、日常についても……いろんなことに頑張ろう。

 そして、いつか必ず……。

 そう、心に決めると――自分にあった呪縛を断ち切ったかのように、有羽は眠りについていた。
 今日突然に生まれた、この淡い気持ちを噛み締めながら……。



 ―― あとがき ――


 どうも、阪木です。
 現在、ラブコメの難しさとハズさに悶絶しそうになりながら、このあとがき書いてたりします(爆)
 うぅ……『片想い』ネタは初めてなんで、かなり手間取った……。読者さんの反応が気になる次第です。
 これも初めてのことなんだけど、今回の俺は他人様のオリキャラを借りてますねぇ。……結構楽しい半分、難しくもありました。でも、兵衛は他人様のオリキャラの中では一番のお気に入りですので、その愛着から、幾重の苦労も跳ね除けて、何とかこのSSを完成に至らせることができました。
 でも、今後も借りて苦労してそうだよなぁ、やっぱ……(笑)

 さて、スペシャルサンクスの時間。
 このHPの管理人であり、普段のチャットでもいろいろとアドバイスをくれる安藤正樹さん。
 兵衛を貸していただき、なおかつ有羽が彼に惚れる設定を了承、しかも、このSSの添削をもしてくださったβブーストさん。
 鋭いSS批評で、これからの俺の文章能力向上のきっかけをくださる日和佐潤さん。
 毎週的確なSS講座を開いてくれる渋井柿之介さん。
 そして、このSSを読んでくださった読者の皆様。
 本当に、ありがとうございます!

 これからも、俺も有羽と同じようにSS作成頑張っていこう!(笑)

 2001年 3月3日 23時47分
 阪木洋一


ORACULAR‐WINGS■
≪前のページヘ
インデックスへ戻る

閲覧室Aへ戻る

時間軸順 ジャンル順 作者順
ORACULAR‐WINGS■