ORACULAR‐WINGS■
 ■クラウド・アイアンハート■    <第4話>


 少年は屋上にいた。素晴らしい美貌と抜群の頭脳、そして最強の戦闘力を持った天才。
(チェックポイント84:「自己陶酔気味なプロフィール」)

 名はクラウド・アイアンハートと言う。
「ティファ。君は今、どこで何をしているんだろうな」
 突然、背後から声を掛けられた。
「……クラウド君。あの、例の件、もう調べはついたわよ」
 振り帰ると、そこには頬を薄らと紅く染めた一人の女がいた。
 名は才堂紅葉。その筋では、名の知れた女だ。
(チェックポイント85:「他人のキャラを勝手に惚れさせる」)

 どうやらクラウドに気が有るらしく、良く声を掛けてくる。相手をするのも好い加減うざったくなるが、まあ女に辛く当るのは彼の流儀では無い。
(チェックポイント86:「自分で頼んでおいて、何だその言い種は」)

 だから何時も、彼女が気を悪くし無い程度に軽く受け答えしてやっている。クラウドはフェミニストなのだ。
(チェックポイント87:「フェミニストと言う点をアピール」)

「ああ、そうか。奴の居所はもう分ったか?」
「ええ。もう、バッチシよ。ねぇ、クラウド君。私、偉いでしょ」
 紅葉は鼻にかかった声で、クラウドにしなだれかかった。
 相変わらず面倒な女だ。だが、今のクラウドには一々相手をしている暇は無い。
(チェックポイント88:「他のオリキャラに対する理解の不足」)
(チェックポイント89:「明かに自己中心的」)


「そうか。ご苦労だったな。それじゃあ、俺はもう行く」
 クラウドは甘える様にしなだれかかる紅葉に肩透かしを食わせ、颯爽と屋上から消えていった。そう、吹き過ぎる一陣の風のように。  
(チェックポイント90:「やや自己陶酔気味な描写」)

 
「ここが奴の居場所か。随分捜したぞ」
 クラウドは廃工場の中にいた。
「ふはははははっ。良くここが分ったな、クラウド・アイアンハート」
 その声と共にセフィロスが現れた。
(チェックポイント91:「唐突過ぎる展開」)
(チェックポイント92:「登場キャラの風貌に対する描写が無い」)

 
「セフィロス!! やっと会えたな。貴様に会う日を俺はどれだけ待ち焦がれてきた事か」
「随分と威勢が良いな。あの時、震えていた小僧が大きくなった物だ」
(チェックポイント93:「いきなり過去の因縁を付きつけられても」)

 セフィロスはクラウドに向けて、嘲笑を加える。
「ふざけるな!! 俺はあの時の俺とは違う。今、俺の真の力を見せてやるぜ!!」
 クラウドは持っていた剣を大きく振り上げた。
「奥義!!」
「おっと。こっちには人質がいるぞ。これを見ろ!!」
 セフィロスのマントの下から、一人の佐伯恵那が現れた。
(チェックポイント94:「何故、奇襲を掛けられた癖に人質を用意している」)
(チェックポイント95:「固有名詞を持つ人間に対して『一人の』は無いだろ)


「卑怯だぞ!! セフィロス」
「何とでも言え。勝負は勝てば良いのだ。あの時もそう言ったはずだぞ」
「くっ。このままでは手も足も出ない」
「では、遠慮無く行くぞ。出ろ!! 我が最強AS<ルシファー>よ!!」
 セフィロスが一声上げると、地面に光の魔方陣が浮かび上がり、中から地獄の魔王を彷彿させるデザインの禍禍しいASが現れる。
(チェックポイント96:「フルメタに魔法は存在しません)

「さあ、クラウド。これでお別れだ。さよならと言わせてもらおうか」
「くそっ。もう、ダメなのか」
 クラウドは諦めそうになった。
(チェックポイント97:「描写にもっと工夫を加えましょう」)

「ダメ!! クラウド君を殺させはしない!!」
 突如、セフィロスに捕らわれていた恵那がセフィロスに組み付いた。
(チェックポイント98:「セフィロス、油断し過ぎ」)

「あっ!! 恵那、無茶するんじゃない。殺されるぞ」
(チェックポイント99:「何故、クラウドはASの中で行われている事が見える」)

「ええい。小娘が邪魔をしおって、死ね!!」
 セフィロスの背丈ほどもあろうかと言う、不気味な光を放ち見るもの全てを凍りつかせるような雰囲気を放つ、血よりも紅い刀身の妖刀<不知火>が恵那を貫いた。
(チェックポイント100:「何故、武器のくせにキャラよりも描写が細かい」)

「はうっ」
 恵那は力無く、その場に倒れ付す。
(チェックポイント101:「何処に倒れ付したのか描写されていない」)

「恵那!! なんで、俺なんかの為に」
「うふふふっ。クラウド君の為……だもん。こんな命、あなたの為ならまるで惜しくは無いわ……クラウド君、好き……よ」
 恵那の手が力無く地に落ちた。その死に顔は、愛する物に見取られた物だけが持った美しい顔だった。
(チャックポイント102:「原作キャラを殺してはいけません」)

「許さんぞ。許さんぞ。セフィローーーーースッ!!」
 クラウドは怒った。
(チェックポイント103:「盛り上げる所なので、もう少し描写に気を配りましょう」)

「ふはははははっ、私に逆らう物は全てそうなるのだ。さあ、貴様も死ぬが良い」
「奥義!! 超級武光覇斬!!」
 クラウドの神気がセフィロスを貫いた。
(チェックポイント104:「ASに乗っているのではなかったのですか」)

「無駄だ。そのような物は俺には利かんぞ。これがラムダ・ドライバの力と言う物だ」
「くそっ、ならば何度でもやってやるまでだ」
「待てっ!! クラウド」
 奥義が効かなかったのを見て、それでも諦めずに奥義を加えようとするクラウドに背後から声が掛けられた。
「美味しい所を一人で持っていこうとするんじゃない」
「ま―ったく。おまぇは、何でも一人で背負い過ぎなんだよ」
「少しは、仲間を信用するべきだぞ」
 クラウドの窮地を救ったのは、三体のASだった。
(チェックポイント105:「唐突過ぎる援軍」)

 <ルーグ>、<シルバーナイト>そして<アーバレスト>だ。
(チェックポイント106:「3機とも<ミスリル>の所有物であり、個人では動かせません」)

 それぞれ、御崎瞬。忍刃正紀。相良宗介の三人が乗りこんでいる。
「へっ。どいつもこいつもお節介な奴等だぜ」
「クラウド。お前のASも準備できている。この場は俺達に任せて、急いで乗りこんで来い」
(チェックポイント107:「前回、呼べば地中から登場してきませんでしたか」)

「分った」
 そう言って、クラウドは工場から脱け出した。
「ザコが何体、集まろうがザコはザコだ。纏めて、掛ってくるが良い」
 セフィロスが吼えた。
「へへへっ。3本の矢ってのを、知ってるかい」
「ザコでも、三人揃えばちょいと違うぜ」
「俺達の結束の力、お前に見せつけてくれる」
(チェックポイント108:「人のキャラを勝手に噛ませ犬にしてはいけません」)
  
 3機のASは一斉に<ルシファー>に襲いかかった。


「エアリス。君が来ていたのか」
 クラウドがそう言うと、エアリスは頬を染めて微笑んだ。長い髪の超美人だ。しかも、彼女は『ウィスパード』の一人である。
(チェックポイント109:「またクラウドに惚れている女性キャラが登場」)
(チェックポイント110:「<ミスリル>所属のウィスパード登場」)


「ええ。久し振りね。あなたの<バハムート>はもう準備が出来ているわ。急いで、乗りこんで」
「分った。すぐに乗りこむ」
「ちょっと、待って」
「……ん?」
 怪訝そうに振り向いたクラウドの頬に、エアリスの口付けが与えられた。
「死なないでね、クラウド。私、クラウドがいなくなったら……」
「大丈夫だ。俺は死なない。俺にはやるべきことがあるんだ」
「クラウド……」
(チェックポイント111:「ヒロインが死んだ直後に、他の女性キャラと良い雰囲気」)

 クラウドは颯爽と<バハムート>に乗りこんだ。
「仲間達が俺を待っているんだ」

「つっ、強い。まさか、ここまでの実力だとは」
「頑張れ。もう少ししたら、あいつが来る。それまでは、持ち堪えるんだ」
「くそっ。クラウドの野郎。何をグズグズしてやがる。もう、もたねえぞ」
「ふははははっ。口ばっかりは達者な奴等だな。だが、それももう終りだ。死ね!!」
(チェックポイント112:「完璧に噛ませ犬な三人」

 セフィロスは<不知火>を大きく振りかぶった。
(チェックポイント114:「<不知火>はASにも装備されているのか」)

「奥義!! 冥羅轟殺剣!!」
(チェックポイント115:「やたらと漢字を多用した必殺技」)

「超級武光覇斬!!」
 セフィロスの奥義を、クラウドの奥義が受け止めた。
「ほう。やっと、帰ってきたか」
「今の俺はあの頃の俺とは違うって事を教えてやるぜ」
(チェックポイント116:「仲間への労いの言葉無し」)

「ならば、来い!!」
 二人の間で、幾回もの剣戟が繰り返される。
(チェックポイント117:「もう少し戦闘描写を増やしましょう」)

「少しは腕を上げた様だな。だが、俺のラムダ・ドライバを破らぬ限り、貴様に勝利は無いぞ」
「くっ。どうすればいいんだ」
 クラウドは焦った。
「私に任せて!!」
「エッ、エアリス。一体、何を考えて……まっ、まさか」
「そう。私の『ウィスパード』としての力の全てを奴のラムダ・ドライバにぶつけてやるの。そうすれば」
(チェックポイント118:「ウィスパードにはそんな力はありません」)

「馬鹿な事を考えるな。そんな事をすれば君は」
「もう。決めた事なの。クラウド。あなたに会えて良かったわ……好きよ」
(チェックポイント119:「いきなり覚悟を決めている新キャラ」)

「エアリスーーーーーーーッツ」
 クラウドの叫びも虚しく、ニコリと美しい笑みを湛えたエアリスの体から放たれた光が<ルシファー>を包む。
 そしてエアリスはパタリと花が散るかのように儚く倒れ付した。
「うおっ。小娘が。自らの命をかけてラムダ・ドライバを中和しただと?」
(チェックポイント120:「妙に説明的な驚き方」)

「うおーーーーーーーっ。エアリスの仇だっ。塵に返れ、セフィローーーーースッ!!」
(チェックポイント121:「妙に間抜けな叫び」)
(チェックポイント122:「恵那はどうでも良いのか」)


「クラウドーーーーーーーッ!!」
 二人の気が場を圧した。
「超級武光覇斬!!」
「冥羅轟殺剣!!」     
 二人の奥義がぶつかり合う。
「グッ……こっ、これが愛の力?」
(チェックポイント122:「愛ってなんだろう」)

「貴様には一生分らない物だ。さあ、今楽にしてやる」
 止めを刺そうとしたクラウドに、突如現れた一機のASがそれを遮った。
「何者だっ!!」
「今、君にセフィロスを殺させる訳にはいかん。彼はこちらで預からせてもらう」
「貴様、余計な事をするな」
「君、その体でそんな事を言っても何も説得力が無いんだよ」
(チェックポイント123:「読者置いてけぼり」)

「ふざけるなっ!! そいつは俺が殺す!!」
「やれやれ。聞き分けの無い人だ」
 突如、現れた男の手から放たれた衝撃波でクラウドは吹き飛ばされた。
「私は『ラグナロク』の者だ。縁が有ったら、また会おう。それでは、さらばだクラウド君」
(チェックポイント124:「簡単に自分の組織の名前をばらす」)

 そう言って、男はセフィロスと共に消えていった。
「うおーーーーーーっ。セフィローーーーースッ」
 憎むべき敵に止めを刺せなかった漢の哀しい慟哭が工場に響き渡る。
 クラウド・アイアンハートの闘いは、今当に幕を開けた。
(チェックポイント125:「助けてくれた3人の仲間の事は、既に忘却の彼方」)

          

  後書き
 やっと、終りました。
 時間は掛りましたが、その分良い物が仕上ったと思ってます。
 オリキャラを貸して下さった皆さん、有難うございました。 
 皆様のキャラのお蔭で、かなり燃える話になったと思います。
(チェックポイント126:「噛ませ犬、もしくは引きたて役として」)

 それでは、様々な伏線が張られつつますます盛りあがってきたこのシリーズ。
(チェックポイント127:「死んだ原作キャラはどうする気だ」)

 次回も楽しみにして下さい。




第四話完成です。
 いや、難しい物ですね。敢えて書くダメSSと言うのも。先達の人々に敬礼です。
 一応、新キャラと敵組織を作ってみました。よりダメダメな感じに使って頂けると幸いです。
 それでは、続く第5話を今から楽しみにします。 


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